2010年10月24日日曜日

温泉湯治には湯治の手引書が必要

温泉湯治には予備知識として、温泉湯治の手引書など事前の準備が必要である。

温泉研究家の阿部眞平氏(1906年生~1986年没)が書いた著書『世界の奇蹟 玉川温泉』鹿角タイムズ社刊  定価¥1300を参考にしてほしい。 1971年(昭和46年)に初版が発行され、2006年(平成18年)に阿部眞平・生誕100年記念の復刻版が出た。玉川温泉に関しては、多くの類似出版物が存在する。活字が小さいので読みにくい難点もある。
※尚、この手引書は源泉50%しかなかったデーターに基づいており、阿部眞平氏の個人的な見解や商業誌(鹿角タイムズ社発行)と言う雑誌媒体による温泉客を増やすという大命題と単行本の広告収入を意識した宣伝効果を狙った計算が働いてもいるので、純粋な温泉研究書ではないという事を考えながら、参考資料程度に勉強してほしい。

注意※玉川温泉は埼玉県にも同名の温泉が存在するが、ゴルフ場の付帯設備として地下1700mほど人工的に掘削された普通の温泉で単純泉質であるので、秋田県の玉川温泉の強酸性泉質とは、まったく別物であリ、注意が必要である。現在はゴルフ場とは別経営になっている。

元新聞記者であった阿部氏が地元の新聞・鹿角タイムズを発行して、温泉の効用を毎回、特集記事で温泉医療相談者 藪井竹庵のペンネームで掲載していたものを一冊の本にまとめ上げたものである。
阿部氏自身が地元の鹿角市出身でもあり、自身も難病や癌に苦しみ、温泉療法で回復改善をした本人の体験談でもあり、地元の温泉の支配人をやっていた時期もあった。地元の個性的な温泉が点在しつつも、取分け玉川温泉が阿部氏を生き返えさせてくれたと言う恩返しと、自信のライフワークにもなった温泉研究書でもある。

残念ながら阿部氏は1986年(昭和61年)5月に源泉近くの川に足を滑らし、大ヤケドで惜しまれながらも、80歳で生涯を閉じてしまった。
現在、立ち入り禁止区域である源泉付近の川に、日課であった散歩と当時はバケツで源泉を採取して研究用に使用していたらしいのだが、源泉は90度以上の熱湯の川の為、非常に危険である。
とても熱心な生き字引のような温泉研究家であった氏は、東大や慶応大、東北大、秋田大、岩手医大など数多くの40数名の科学・化学・医学博士達との多方面の交流もあり、非科学的だともいわれる温泉の効用に早くから科学的な解明をしたいと願い、温泉科学・医療・物理療法の教示を受けている。
玉川温泉の研究論文の発表で、10数名の医学博士も誕生している。
※阿部氏の著書の内容が40年も前の時代背景と云う事もあって、湯船の中にタオルを入れてゴシゴシと身体を洗う・吐水口(温泉が浴槽に流れ込む所)にカラダを直にくっつけて直接浴びると良いなどと云う記述など、今ではひんしゅくをかうマナー違反の内容も多くある。源泉は洗い流さずに自然乾燥が良いなどなどであるが、当時は源泉50%しかなかったが、源泉100%が追加された現在は、湿疹カブレがひどくなるだけなので、洗いながした方が良いという事になっている。


本書の推薦は元・埼玉医大の学長でもあった元・東大病院 大島良雄院長(医学博士・日本の温泉医療の権威=1911.1.29生~2005.1.11没。北海道出身。東京帝国大学を卒業後、岡山医大教授、信州大教授を経て、1955(S30)東大教授となり、'69東大付属病院長。 '72埼玉医大付属病院長。物理療法が専門で、温泉の効果に関する研究で知られた。ラジウムの効用の研究は米国・ロックフェラー医学研究所でも注目され採用されたとされる。中央温泉研究所理事長などをつとめた。医学博士。享年93歳。 )
大島先生が、あなたの温泉研究はとても面白く、実用的であるので小冊子(50ページ程の本に)まとめてみなさいの一言であったという。
※余談ではあるが、源泉100%のお湯は1992年(平成4年)に誕生した。それまでは源泉に沢水を入れて希釈した、源泉50%のお湯のみであった。当然の事ながら、阿部眞平氏は1980年頃に改訂版を出しているが、1986年に亡くなられたので、湯治客向けの源泉100%のお湯の存在も知らず、入浴もされていない。唯し、源泉100%のお湯をバケツで採集して、希釈して飲用や肌に塗ったりなど、研究していたという情報もある。玉川温泉特有のブツブツ肌の湿疹も、チリチリ・ヒリヒリの痛みも、刺激の強度も源泉50%しかなかった当時とは比較にならない訳である。胃液の濃度(ペーハーpH1・8~2・0)より濃い強酸性(pH1・1~1・2)のお湯の効用は阿部氏が本にまとめあげた頃よりも、今から30年以上も前の源泉50%に入浴湯治したデーターが基準になっているという事を注意していただきたい。
温泉の泉質は研究機関によって、毎年、定期的にデーター分析が行われてると言う。温泉成分がいまだに不変であると言う事の方が驚異的であり、玉川温泉は不思議な温泉である。
≪注意事項≫
阿部眞平氏の著書は癌や難病の402病が治ると書いておりますが、これらは医学的な見地からの裏付けや臨床データーは全てに於いて立証・公認されたものではありません。医学・学術的な検証が追いついていないのも事実です。一部拡大解釈や誤解もあります。

玉川温泉研究会 付属診療所の野口順一先生(大正14年=1924年・東京都八王子市生まれ。昭和24年、東北大学医学部卒業。昭和30年、同大学院卒業後、東北大学医学部皮膚科講師、東北大学鳴子分院講師を経て、昭和37年から元・岩手県立中央病院皮膚科長。温泉療法医=現在87歳で現役である。
野口先生は玉川温泉はヒリヒリ・ピリピリ痛かゆい所をブツブツの赤い湿疹状態にして悪い所を教えてくれて、治してくれるお医者さんの様な不思議な温泉であるとお墨付きなのだが
湯治の仕方が自己流でカラスの行水程度では湯治とはいえない。好きなだけ酒を飲んで偏食して観光気分で来て2,3日で帰る位の者には効果は期待できない。湯治というのは、まじめに一定量の時間お湯に入って栄養をつけて病気に向き合わなければ、まったく意味のない事である。3日位の短期間で病気が治るほどの奇蹟はありえない。人任せ、医者任せではだめである。本人が心の底から病気を治そうと言う人には効果があるが、やる気のない者は治らないし、何をやっても無駄である!と厳しいお言葉!


病気は気の病!気力が必要!元気力が必要!皮膚を刺激して鍛える事で内臓まで刺激する。
ツボのように疾患部位をジワジワトと刺激して治す。体毒素を皮膚や排尿・排便で強制排出刺激を促すなどの効果が期待できる温泉である。
1日2時間(1回の入浴で源泉100%に30分x4回の入浴又はそれ以上の入浴時間)で源泉100%の痛みに耐えられる者のみに向いている温泉でもあるのだ! 源泉50%にのみ入浴して体調を維持している人も、中には、いらっしゃいますが長期にわたって、湯治回数が多い方には有効でもある。
長時間入っていれば良いとも限らないのだが、癌や難病の患者は、命がけである。体力をつけながら入浴時間を延ばすことが重要であり、体力がない者は長時間入浴自体が無理である。


全快したとされる病気(阿部眞平氏の著書に記載)
脳腫・白内障・緑内障・虎眼・眼病諸病・鼻病・耳病・白血病・赤血病・口腔内病・食道病・気管肢病・喘息・食道胃腸のポリープ・胃腸潰瘍・胃がん病・胆のう結石・腎臓結石・肺結核・心筋梗塞・狭心症・心臓肥大症・心臓結滞・肺がん転移・糖尿病・蛋白腎臓炎・膀胱結石・乳がん・子宮筋腫癌・癌病転移症・神経痛諸症状・関節炎・痔病・皮膚がん病・水虫・痛風・スモン病・注射ショック・四肢障害・ロイマチス・高血圧・低血圧・台湾坊主・アルコール中毒症などである。

温泉研究家としての知識や医学博士の意見や指導を受けたと書いておりますが、どの項目がどうであったかの細かい説明がありません。阿部眞平氏の経験と体験からの部分も多数、記述されております。

ラジウムの効能の応用については、欧州の方が進んでおります。バドガシュタインオーストリア・ザルツブルグ州の温泉保養地)のラジウム放射能泉が有名です。バドガシュタインのラドン浴治療において、臨床医学的に有効と確認された疾病は強直性脊椎関節、リウマチ性慢性多発性関節炎、変形性関節炎、喘息、アトピー性皮膚炎などです。

バドガシュタインは、ラドン温泉発祥の地で、「奇跡を生む岩盤浴」で知られています。現在は、世界でも屈指の、医学的治療の一環として診療を行なっている湯治場です。かつてこの地で働く金銀発掘労働者が、他の鉱山労働者に比べ、かなり健康であることから注目されるようになりました。ンスブルック大学で1952年から試験的に坑道療法が始められ、翌年から実用化されるようになりました。

※阿部眞平氏の手引書は病気が治るという事を100%保証する本ではありません。玉川温泉に駆け込み寺のように来られても、手遅れで沢山の方も亡くなっております。それでも難病を克服して生きる喜びを勝ち得た人は幸せ者です。


難病でお困りの方は、わら尾にもすがる気持ちでしょうが、玉川温泉を利用する手引書として参考にしていただければ幸いです。人の意見を聞かないデタラメな湯治方法でやっている方が沢山います。温泉湯治療法は、時間とお金がかかります。湯治場には必ずいる、難病を治した湯治のベテランさんを見つけ出して、貴重なご意見などの教えを請う事が出来れば、最短時間で回復改善が期待できます。

病気は10人10色、症状の重い方、軽い方も湯治の仕方や間違った湯治の方法など、湯治期間が短い場合は回復改善が期待できない場合もあります。病気に対する積極的な取り組みと他人任せでない研究心と覚悟がなければいけません。

多くの難病で苦しんでいる人達が少しでも回復改善出来る事を心からお祈りいたします。

※阿部眞平氏の手引書は源泉50%しかなかった時代の古い偏ったデータに基づいており、平成4年に源泉100%になったデータで、阿部氏の間違いを指摘している研究者が登場した。大城源吉氏である。大城先生は平成24年(2012年)現在で玉川温泉湯治45年と言う。自らの癌病や難病を完治させた。玉川に湯治に来た末期の癌患者(胃がん・大腸がん・肝臓がんを併発していた)の救済の手引きをして2年がかりで死の淵から生還させるなどの実績がある、平成24年現在74歳で会社経営の傍ら大ベテランの玉川温泉湯治の研究家でもあったが、平成25年10月に転倒で、腰を強打され緊急入院療養 中であったが、大変残念ながら11月に他界されてしまいました。ご冥福をお祈り申し上げたい。
大城先生の玉川温泉研究手引書を『阿部眞平氏を超えた、最新の玉川温泉の手引き書』として取り上げた。アクセス先はhttp://tamagawaonsen.blogspot.jp/2013/06/blog-post.html

玉川温泉情報支援センター
玉川温泉湯治岩盤浴研究会


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